9月。「まだまだ暑いな~」と汗をぬぐう日があるかと思うと、「今日は長袖を着ていこう」と涼しさを肌で感じる日もあったり……。
そんな日本の9月は、秋祭りがあちこちで催される月でもあります。
さて、秋祭りと言えば、何を連想しますか?
――そう神社・仏閣!
と言うことで、今日のテーマはずばり「神社・仏閣」。しかも『紙らぼ』の記事ですから、「神社仏閣で見られる紙素材の用品」にスポットを当ててみたいと思います。
まずは、紙のお話の前に神社とお寺の違いについて少し触れておきます。
こんなことをお訊きするとちょっと失礼かも知れないのですが……、
「皆様、神社とお寺の違いはご存知ですか?」
「さすがに知ってるよ~」との声が聞こえてきそうですが、ちょっとおさらいをしておきますね。
大雑把に言えば、神道であり神様を祀り祭事を行うのが神社。仏像が安置され、仏教を説く施設がお寺。
参拝の仕方にも違いがありますね。
神社→お賽銭を入れ鈴を1〜3回カラカラ。二礼二拍手一礼。柏手のあとにお祈りで、最後にまた一礼です。「あれ?何回礼をするんだっけ?」と、ちょっと迷ったりしませんか?(笑)
お寺→お賽銭をいれ、両手を合わせてお祈り。時々見かけますが、柏手(かしわで)は絶対NGですからね!パンパンしちゃダメ!
これを押さえておけばひとまずOKでしょう。
さて、いよいよ本題の「神社仏閣で見られる紙素材の用品」のお話に入りますね。
私の思うままに紹介しますが、お許しください。
ひとつめは、「紙垂」
これは”しで”と読みまして、鳥居にかかっているこれ
や、境内の大木の幹に巻かれているこれ
とか、水で身を清める手水舎にかかっているこれ
あとはお賽銭を入れる場所、拝殿
などに見られる雷の形をした細長いやつ。
神主さんが参拝者等に向けてしゃんしゃん振ってお祓いをする、ワシャワシャしたあれ(大幣-おおぬさ)の先っちょもそうですね。
これは木や建物に差し込んだり結びつけるなどして、お祓いの道具にしたり、注連縄(しめなわ)に垂らしてそこが聖域だと示す目印の役割をしたりします。
かつては麻でつくっていたようですが、のちに”楮”という木から作った木綿や和紙を用いるようになり、現在では和紙が主流なようです。良く見かけるのは写真で見るような雷形ですが、地域によって形も様々なんだとか!
つづいて「千社札」
これは鳥居や社殿の柱や壁など、至る所に貼られている細長い紙切れのことです。この紙切れには、参詣者の名前や屋号、住所などがしるされています。
銀座や秋葉原など、外国人観光客が多いところで良く見かけるあれですね。母国や自分用にお土産で買っていかれる方も多いようで、日本人よりも外国の方にとっての方がその知名度が高かったりして?? あ、この間サ●リオ●ューロランドのガチャガチャでも見かけましたよ!
千社札は江戸時代に庶民の間で流行したのが始まりとされていて、かつては神社に参詣に来た記念にその印として名前や木札、紙札を収めていたそうです。
その後、参詣の証として名前や出身地を書いた紙札を貼るようになったんですね。この「貼る」という習慣ですが、昔は米粒を潰して糊の役割を持たせて貼っていたようですが、近年は柱を痛めてしまう糊が使われていることもある様で、歴史ある重要な建造物に悪影響だとして見直されているそうです。大事な建物、後世に残していきたいですものね。
記念といえば「御朱印帳」
近年、御朱印集めの大ブーム、来てますよね! 「なかなかマメな性格ではなく波に乗れないな~」という方も多いことでしょうが、由緒正しいありがた~いものだということは知っておきたいものです。
御朱印は今でこそ参詣の記念にいただくことがほとんどですが、その本来の意味は、「納経印」と言い、神社仏閣へ参詣者が写経を奉納した時にその証として印していただくものでした。
使われている紙はほとんどが奉書紙と呼ばれる厚手の和紙で、先程の紙垂に使われているものよりもしっかりとした厚みと強度で作られています。今はブームということでもあり、クリーム色や柄ものだったり、製本のされ方も、糸で綴じられる和綴じや蛇腹式、本と同じタイプの製本など、多種多様な御朱印帳が売られているようですね。紙屋としては、このブームで紙の需要が高まるというのは大変有難いことです。(実は、弊社でもあるお寺さんの御朱印帳を製作しています!)
小話としてひとつ。御朱印は御本尊や御神体の分身で、神聖なものとして考えられ大切にされてきました。また、御朱印はひとつひとつ、お寺の方が手書きで書いてくださるものがほとんどです。全く同じというものがひとつもないのもまた貴重なことですよね。
時間をかけて、神聖な証を印していただく。御朱印集めのブームによって気軽に集められるようになった御朱印ですが、有難いと感じる心は忘れたくないものです。
その他おみくじやお経本、お供物を供える際に敷く紙、祭事につかう人形の紙など、様々なシーンで紙が用いられ、神社仏閣だけで見ても、古来より紙と人は密接に関わりあってきたことがわります。
和紙はとても強靭で、1000年以上前の書物が今でも綺麗に残っているほどです。
書き写す。かつて、西洋ではただその目的のためだけに使われてきた紙は、東洋では唐傘や提灯、日本においては鼻をかむ、おしりを拭く、飾り付けるなど、様々な用途で使われてきました。ティッシュペーパーなどは、いまでは多くの国で日常生活の中で使われていますが、西洋の人々が、日本人が紙で鼻をかむ様子を初めて見た時には、非常に驚いたということです。
この日本ならではの素晴らしい紙の文化、大切にしていきたいですね!
以上、神社仏閣に纏わる紙の小話でした。
そういえば福井県には、日本で唯一「紙の神様」を祀っている神社があるそうです。
一度で良いから行ってみたいな〜♪
もし行ったら、またここでご報告しなきゃですね。